何故この目は雫を零すのだろう?
心に傷がつく場所なんて どこにも残っていないというのに…。


塞がりかけたそれは、いとも容易く真紅の血を流し始めている。



私は、助けを求めればいいのだろうか…?
何故この鼓動は止まないのだろう?

血を流しつづけ、それでも脈打つ鼓動は…
何故、止まってくれないのだろう…。



私は、助けを求めるべきなのか…?



信じる人を失い、人を信じる事を厭う様になった私が
一体誰の何を信じて求めるというのだろうか…。

静かに、それを押し当て滑らせれば…
答えは見えるのだろうか…。

この心には不釣合いな程に蒼い空…
明るい部屋…

中空を彷徨う太陽の光を浴び、一瞬だけ煌く刃…。

吸い寄せられるように血管の上にかざし、
そっと、しかし力強くスライドさせる。




真一文字に皮膚が裂けた。
徐々に赤くなる裂け目を指で押し広げ、
この体に流れる血を抜き取ってしまおう。
ぽつりと膨らむ血の真珠…やがてそれは肌を伝い落ち
小さな音を立てて地面に吸い込まれていった…。


とり付かれた様に何度も、何度も刃を滑らせる。
むせかえる血の臭い…刻むたびに感じる痛み…


助けを求める人がいないのなら、

自らを「生」の輪から振り落とそう…。
こんなに苦しいなら、人に在らざる者と成り果てよう。


ただ、かの人を想い、かの人を心の内に招きいれ、
そして心の内側から食い破られた。

たったそれだけの事…
それだけの事が耐えられぬ心なら、

人に在らざる者として暗黒の輪に加わろう。


そして何時か…廃墟の様な心に鍵をかけ、
何者にも開かれない鉄の扉を置こう。



何者の侵入も赦さない冷たい血をこの体に流そう、
それが、最後の砦となる…
さぁ…血の宴を開こう。










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